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日本人は、ピアノが好き!!

2月9日、日経新聞の土曜版「NIKKEI プラス1」での1面特集。
資金にゆとりがあればやりたいこと…。

1位:海外旅行
2位:ゴルフ
3位:英会話
4位:株式投資
5位:乗馬
6位:ピアノ
7位:スキューバ・ダイビング

海外旅行や英会話は、今では、すっかり身近なものになりましたが、海外旅行でも「世界遺産を全てめぐる旅」や「豪華列車の旅」、また、ゴルフも有名ゴルファーからみっちりレッスンを受けたい…などなど、夢はワンランク上を行っているようです。

同じ習い事でも、ゴルフ、乗馬、スキューバ・ダイビングなど、一般的にお金の掛かる趣味(大人のスポーツ)がランクインする中で、文科系で英会話に並んでピアノがランク・インしたのは、やっぱり日本人はピアノが好きだからなのかな!?と、思うのです。

私が子供の頃は、恐らくピアノ教育全盛期なのではないでしょうか?
クラスの女の子は殆どピアノを習っていた…という話を、外国で現地のピアノの先生や様々な国の学生たちに話すと、たいていすっごく驚かれるのです。
「日本人は、なんでそんなにピアノが好きなんだ!?」と。

ヨーロッパの国で思うのは、彼らにとって音楽は「家業」のようです。
パン屋の息子はパン屋を継ぐ、靴屋の息子は靴屋を継ぐ…のように、たいていの音楽家は一家全員音楽家で、お母さんは歌手、お父さんはチェリスト、おじいさんはヴァイオリニスト、弟はフルーティストで…のように、DNA的にも環境的にも、生まれたときからずっと音楽に囲まれて育っているのです。(羨ましい!!!!)

だから、私が普通のサラリーマン家庭育ちで、家族の誰にも、プロどころかアマチュアの音楽家すらいなくて、ピアノを始めたきっかけは、周りのお友達が習っていたからだ…と、いうと全く信じられない!!!という表情をするのです。

日本人がピアノ好きになった理由はいくつかあると思います。
おそらく最大の理由は、高度経済成長を経てヤマハとカワイという2大ブランドによって、ピアノの楽器を安く・大量に・安定したクオリティーで供給できるようになったことにあるのではないでしょうか?

たくさん作れるようになったピアノの受け入れ先として、一般家庭の子供たちのレッスンを、これまた安く供給するようになり、ピアノを中心としたビジネス・モデルが出来上がったのでしょう。

それと、日本には元々「習い事文化」があるように思います。
寺子屋時代から、お習字を習ったり、そろばんを習ったり、また女の子たちは、お琴・お茶・お花・日本舞踊、更には詩吟や俳句、民謡、剣道、柔道まで…習い事を受け入れる文化的な土台と、時代が上手くマッチして、ピアノは馴染みの深い楽器として定着したのだと思います。

しかし、現在、ピアノを取り巻くビジネス環境は厳しい限りです。
それを、少子化だから…と結論付ける人もいますが、私には、教育や文化を「産業」にしてしまった代償のようにも思えるです。

小さい頃からピアノを始め、たくさんの家庭に楽器を買ってもらい、買ってしまったら、やめちゃってもOK!、あとは頑張って続けた人が音大に行ってピアノの先生になり、また子供を迎え入れる。別の方向性として、音大進学組には、上位機種を購入してもらい、さらにはコンクール・ビジネスまでが飛び出し、おかげで日本は世界有数の「優れた」ピアニスト輩出国になれたのですが、一見順調なこのビジネス・モデルに欠けていたのは、「文化を育てる」という観点でしょう。

音大を卒業した大半の人がなりたい職業は、ピアノの先生というよりも、ソリストとしての演奏家業なのですが、ハッキリ言って今の日本では、どんなに優れた演奏家でも演奏業だけで食べて行くのは困難なのです。

思うに、仕事というのは、大なり小なり、社会貢献活動なのです。誰かの役に立たなくては報酬を受け取ることはできません。音楽業界は、社会の中での演奏家の位置づけがあいまいなまま、今日まで過ごしてきたように思えるのです。

子供の頃にピアノを習っていた、たくさんの子供たち…。
弾かなくなって、無用の長物と化したピアノの楽器。
その子供たちが親になって思い出すのは、怒られてばかりのレッスン、退屈な練習の日々…。お子様を連れてお教室を訪れるお母様の中には、マイナスのイメージの中で迷いながらいらっしゃる方も多いのです。
それでも、ピアノを習わせよう・習いたい!と思っていただけるほど、やはりピアノという楽器は魅力を秘めている楽器なのでしょう。
ただ、今の状況は、本当の意味でピアノを世の中に送り出す為のラスト・チャンスだという危機感で一杯です。

私は、教室を訪れて下さる生徒さんに、ピアノが弾けるようになる喜びと共に、音楽を味わう喜びを知って欲しいのです。
ピアノ教室にお月謝を払うたくさんの方々が、その一部でコンサートのチケットを買って下さったら、多くのピアニストが、演奏に集中できる環境で、演奏業をして行くことが出来るのではないでしょうか???

今日は、「お金」の話になってしまいましたが、頑張ってもお金にならない仕事をしている大人に子供は夢を見ないのではないでしょうか?
と、言っても音楽の本質は利潤追求であってはならないとも思います。
私なりの「ピアノ教育の目指すもの」を少しずつ書いていきたいと思います。

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2007.11.11 録音

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